自然の生命(いのち)の力 resilience

精神科病院で働いています。診療情報管理士通教84期。五感を癒して自然治癒力を高めるセラピーについても関心があります。一人旅が好きなので、旅のことも、時折書きたいと思います。ICD10リスト&要約ブログ作成開始。http://sizen.upper.jp/icd-10/

うきわ/深夜便/ニトロちゃん/インザプール


なにをしている時間がいちばん好きか?と言われたら、本を読んでいる時間です。ひまさえあれば本屋へ行き、ちょっとでもお金に余裕があると本を買ってしまうのです。

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今日は、最近読んだ軽めの漫画&小説をすこしご紹介させていただきます。

#「うきわ」野村宗弘

不倫されているもの同士が、社宅の隣同士の部屋に住んでいる縁で、お互いの距離をはかりつつ悶々とする・・・だけの漫画です。
でも、なんとなく読ませるものがあって、何度か読み返しました。
理由は、独特の、しっとりした間合いと、絵柄の魅力・・・特に主人公の女性がとても憂いを含んだ体温を感じさせる表情で描かれているところにあるように思います。

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主人公の女性も、女性が思いを寄せる隣室の男性も、影があってはっきりしなくてウジウジしていてめんどくさいです。割り切れない問題を抱えた男女が、純粋な恋愛でも欲望でもなく、互いにただ膿んだ日常の閉塞感からさまよいでようとする、うろんなムードが巧みに描かれています。

#「深夜便」桜玉吉

玉吉さんの生存確認の気持ちで買いました。あいかわらず、見事なダメオヤジでした。良かった、良かった。
こんなことばっかり考えて、こんなことばっかりして、こんな漫画ばっかり描いている玉吉氏に乾杯。という気分になります。

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あいかわらず、作風はあきらかにつげ義春を意識していますが、玉吉さんの漫画からは気の良さとある種の健全さ、外向性が感じられます。


沖田さんの本は何冊か読んでいますが、いつも胸が苦しくなります。なかでもこの「ニトロちゃん」はそうでした。
発達障害があり、周囲に適応できず、とくに教師との関係で深い悩みと傷をかかえる「ニトロちゃん」。彼女が生きる世界はあまりにも過酷に思えます。
男性教師から暴力を受け続け、トラウマ的な症状が出てしまう彼女はとてもかわいそうで、痛々しいです。
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読んでいて感じたのは、
彼女が発達障害とか、そうでないとか、そういう問題じゃなく、
そもそもこういう教師からのひどい暴力行為が黙認されている教育現場があるということの問題でした。

#「インザプール」奥田英郎

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面白い面白いと聞いて読んだけれど、
あんまり面白くなかったかな。
あやしい精神科医伊良部先生が、はちゃめちゃな治療?をする小説です。
全体的に、あざとめ。
でも通勤時に読むにはすごくいい本でした。
一話が短いし、文体のテンポがリズミカルで読みやすい。
気楽に読めるし、読み終わった後は気楽な気分になっています。
気乗りしない会議のある朝に読むにはおすすめです。

そんなこんなの、
最近の軽めの本の感想でした。