自然の生命(いのち)の力 resilience

精神科病院で働いています。診療情報管理士通教84期。五感を癒して自然治癒力を高めるセラピーについても関心があります。一人旅が好きなので、旅のことも、時折書きたいと思います。ICD10リスト&要約ブログ作成開始。http://sizen.upper.jp/icd-10/

The Mist

後味がよくない映画…として有名な「The Mist」をHuluで見た。

興味深い映画だった。

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ある日急に、街が不可解な霧に包まれ、

謎の化物が霧とともに現れ人を襲い始める。

しかしこの映画のテーマは、その化物の恐怖ではなく、

極限状態での人間の心のおそろしさだと感じた。

 

霧に包まれ化物にかこまれたスーパーマーケットで一夜を過ごす人々の精神は荒廃し始め、やがて、

「化物が現れたのは、かみへの冒涜のせいなので、生贄をさしだせ」

という女が現れる。

普通に考えれば、それは異常な話なのだが、

多くの人々がその女に賛同し、

罪のない若い軍人を実際に生贄として差し出してしまう。

 

また、主人公の男性は、ヒロイックな行動をとるがどれも冷静さがなく、

ことごとく悪い結果を生み、

最終的には、絶望し、

家族を殺害し自殺をはかるものの、

自分だけ生き延びてしまう。

 

助けあい、生存しなければならない状況の中で、

人間同士が疑心暗鬼となりあやまちをかさねていく。

 

私は、

「実際には、もっと人間は冷静に行動するだろう」

と思った。

それと同時に

「しかしこれは人間の一面の真実の姿かもしれない」

とも思った。

心の中には、こういう人格を持っている人は多いのではないだろうか。

もしかしたら、自分自身も。

 

最後の場面、

あと5分主人公が絶望に耐えたなら、

多くの人の生命が助かった。

 

本当に怖いのは自分の心。

本当に戦うべきなのは自分の心。

それを表現したい意図の映画だと思う。

 

どんなに絶望的な状況でも、絶望しない心。

どんなに追い詰められた状況でも、正気を失わない精神力。

 

それを鍛えていかないとこうなってしまうのだな…と

痛切に感じることができてよかった。